落ち込みや不安などのつらい思いを抱えているヒトは、いままで普通のことと思ってきた日常の出来事1つ1つに、大きな努力と集中力が必要になります。
朝起きること、食事をすること、着替えること、電車に乗ること、仕事をしたり学校に行ったりすることなどが、これまで行ってきたように考えることなくできない。体が思っているようには動かない感覚を、常に味わいます。
最初はおかしいと思いながらも、なんとか以前の生活を維持しようとしますが、なかなかこれが難しい。カウンセリングでは20キロの水の満杯の壊れやすい瓶を頭の上に載せながら-しかもこの瓶は誰にも見えないものなんだけれども、水をこぼしたり瓶を壊したりしてはいけないことだけは何となくわかっている-生活している状態なんですよと、説明することの多い状態です。
落ち込みや不安を持っている人にもそうでない人にも想像してほしいのは、誰でもこのような状態で生活することは困難であり、集中力も体力もこの重荷を背負うことに持って行かれている事です。そしてどのような人であっても、このような状態で冷静に物事を判断することは難しくなっていることは想像に難くありません。ところが、小さな事の決断すら難しくなって行く時期に、大きな決断をするあるいは迫られることがあります。そしてどうしてもこのようなときは極端な決断に走りがちになるようです。
確かに現実的に会社や仕事先に負担をかけることがあるのかもしれませんし、学校にひさしぶりに行くことはいろいろと気にかかることも多く難しいのかもしれません。しかし、カウンセラーとしては困難の時ほどいろいろな選択を後回しにしてもらいたいとお願いします。
果たして落ち込みや不安が解消されたときに同じ選択をするんだろうか。
仕事や学校を続けること、それ自体はいろいろあることです。自分に合わない仕事や学校などは現実的にありますし、それを無理に続けて体を壊してしうのはもったいないことです。それでも冷静に信頼できる人と話して、いろいろな方法を使って、今考えている選択より一段階穏やかな選択ができたならと願います。少しでも時間があき余裕ができれば、その間に集中的に落ち込みや不安に介入ができます。ほっと一息ついて、少しでも自由な立場から選択ができる可能性があります。カウンセリングでは中途半端であることが大切な求められる能力でもあります。