自分が変わる時に役に立つことの一つ。無意識に取っている毎日の言動について。
毎日の生活の中で繰り返すこと(考え方、感じること、行動、経験)というのは、それが意識されずに自然に行っているものほど、自分の生活を支配します。例えば朝起きたときに何を考えるのかとか、自分がなにかうまくいったことがあったときにどういう行動を取るのかとか。理想や信念、ある種の珍しい経験といった特別なモノを私たちは変化を期待するときに重要視しますが、何よりも毎日考えることなく行っていることが、実は自分を造り上げる最も強い力を持っています。
コミュニケーションに苦手意識を持っている人を考えてみましょう。物心ついたときにはコミュニケーションが苦手だった人も、なにかのきっかけで苦手になった人も、コミュニケーションの苦手な人は苦手だという意識とその意識から生まれる引っ込み思案だったりコミュニケーションを割けようとする行動をしてしまい、やっぱりコミュニケーションはうまくはいかないんだという経験をしがちです。実際に人とのコミュニケーションのつまずきを「毎日」経験することによって、自分は人と接するのは苦手なのだという意識を積んでいきます。これはマイナスの意味合いで非常に効率よく「学習」をしている状態であると考えられるわけです。
「好きこそものの上手なれ」という言葉もありますが、社会人になってみて仕事などをしていても、特に好きであるとか嫌いであるとか考えることなしに、毎日当たり前のように行っている作業というのは初めてその作業をしたときよりも上手になっていることに気がつくでしょう。
どのくらいの時間を具体的な作業に割けるのかというのはとても大きい問題なのです。こころの問題といってもこころから変えるのも一つの方法なら、目で見えて現実的で具体的な習慣から変えるのも一つの方法としてあります。人の行っている多くのことは、凄く上手になるというところを目指すには才能+αが必要なのは事実です。けれどもそこそこというレベルを目指すなら、たいていのことは時間と労力をかけるなら可能だと思います。
ただ時間を割くことはとても難しいことです。簡単だと思う人も多いかと思いますが、不安やうつなどを持ち出すまでもなく、自分の生活習慣を変えるダイエットや禁煙、禁酒などに失敗している多くの話を聴くたびに、今までの習慣の強さとを感じます。
習慣を破るためにはただその習慣をやめようとするだけでは難しいのです。コミュニケーションの苦手な人が、「人と話せればいいのだから明日からなるべくみんなに声を掛けてまわろう!」と決めても、なかなか実行できないのと同じです。それができれば苦手にはなっていないということが多いからです。
カウンセリングの場面の良いところの一つは、今までの習慣をただ改めてやめるだけではなく、その代わりに「具体的に・現実的に何をしたらよいのか・どういう事ができるのかを考えられること」さらには今までの習慣を破ったときの不安や不満・ストレスなどをその場で扱うことによって、新しい習慣を行いやすくできるところにもあるのです。
2003年9月15日