カウンセリングをしていると、つらい思いをしているけれども本人がカウンセリングに来られない、お医者さんに行くまでがすごくたいへんだ、というケースと良く出会います。「本人が来る気にならないからしょうがない」とあきらめてしまう前に、身近な誰かがカウンセリングに来て欲しいなという願いをカウンセラーは持っています。
動きやすい人から動くこと
スクールカカウンセリングやカウンセリングルームで関わっている子どもたちの中には、カウンセラーと直接会うことなく回復をしていく子たちも珍しくありません。親や祖父母とカウンセラーが会っているうちに、いつの間にか問題が片づいていく時があります。
本人はほとんど誰にも会いたくない状態になっていても、家族は困っている本人に良い影響を与えることができます。毎日のあいさつや、声のかけ方。他の家族との話す内容や声のトーン、生活の音。一緒に暮らしている人の雰囲気や考え方は、そこにいる家族たちに常に何らかの影響を与えています。あたり前のことですけれども、ピリピリした雰囲気では心身ともに休まりませんし、ただでさえ人の目が気にないる時には、誰かが怒りやすければ、なおさら人のことが怖くなってしまうのはわかる気がします。
子どもを支えるためには、自分が支えられていることが必要
親だからといって完璧な人間というわけではありません。誰かをある程度の期間支えることは、そこにどれだけの思いがあったとしても、気力や体力、時間や労力と行ったものを必要とします。自分が支えられることが少ない中で、誰かを支え続けるのは、そういった自分の資源の補充が間に合わなくなっていくのですね。そうして家族がもやもやしていたり、イライラする事が多かったりするとどうしても私達は余裕がなくなり、極端な言動を取りがちになってしまいます。
なるべく困っている本人に良い影響を与えるためには、『重要な誰か・一緒に住んでいる家族』が、自分の考えていることや感じていること・自分の生活や仕事をに対する思いをすっきりとさせることが必要です。支える家族が体や頭を休めることからはじめてみましょう。自分の時間を確保して、問題から距離を取って見つめるためにも、家族がカウンセラーなどの専門家に話してみる機会をつくりましょう。長い目で見ると、支える家族の小さな変化が、困っている本人にも、それを支える家族にも大きな助けになりますから。