もともとは「親がアルコール依存症の家庭で育った人」という意味で使われ始めた言葉でした。その後、ほかの依存症の問題にも、依存症者と家族とがともに依存状態となってしまい問題から抜け出しにくくなってしまう「共依存」や「親と同じ問題を抱える子ども」、「良い子としてしか生きられない」といった、狭い意味でのアダルトチルドレンと同じ様な問題があることが見出され、もっと広い意味に使われるようになりました。
今は、親や養育者との関係で、虐待やネグレクト、家族間の不仲があり、その育ちの中で自分の感情との折り合いがつけにくくなったり、対人関係での距離感が適切に取りにくかったりなどの、「生きづらさを抱えて生きる人」を意味します。
アダルトチルドレンは「生きづらさ」に焦点を当てている言葉です。アダルトチルドレンという言葉を用いることによって、子どもの頃から自分を責めることが中心だった人や、自分の感情や、やりたいことを優先できなかった人が、育ちの中で様々な影響があったこと、自分が悪いのではなく現実的な問題あったことを理解することができて、傷ついていた自分を受け入れ、より良い生き方の選択肢があることに気づくことが大切です。
自己認識、あるいは自分の問題をよりよく理解するための言葉であるため、自分の「生きづらさ」がどのようなものであるのかを知ることが、アダルトチルドレンの状態を理解するためには重要です。
感情、考え方、対人関係に問題を抱えることが多く、よく見られる状態としては、
・自分の判断に自信が持てない
・他人の言動に強く左右され気持ちや行動が落ち着かない
・孤独感が強く感じられ、人と一緒にいても一人でいても疎外感を感じる
・感情の起伏が激しい
・感情のコントロールが苦手
・罪悪感を持ちやい、自罰的、自虐的
・物事に過剰に反応してしまったり、抑制しすぎてしまったりする
・世話をやきすぎてしまう
・必要以上に自己犠牲的
・人間関係が難しい
・強く依存的だったり支配的だったりする
などがあります。
自分の抱えている生きづらさを理解し、過去をどのように了解していき、現在の問題にどのように現実的に対応していくのかということが課題になるため、批判をされずに自由に語ることのできるカウンセリングは、基本的な対応になります。
そのようなカウンセリングの枠組みの中で、「心理教育」「認知行動療法」「家族療法」「トラウマへの介入」などを組み合わせ、自己や家族、対人関係や社会への理解を深めて、より生きやすい自分になっていくことが目標となります。
話をすることは病気や問題に直面したときの対応として、いちばん大切なことです。
苦しいときほど話しにくくなってしまいますけれども、話をすることによって「自分の状態に気づく」「いろいろな援助のアイディアを聞ける」「助けを求める」など、さまざまな良い効果が期待できます。
自分の状態や家族の状態、社会の状況も含め、こころの動きや生活習慣を理解し変えていくための適切な情報を得ることは、こころの落ち着きのための大切な要素です。
自分の中にある考え方を変えていく心理療法です。
強く落ち込んだり、うつ病になると、自分のことや周りのことを落ち着いて考えることが難しくなります。「自分が悪い」と考えたり、「これからいいことは何も起こらないんだ」といった「ものごとのとらえかた」=「認知」に働きかけるものが認知療法です。
家族のシステムに働きかける家族カウンセリングは、依存症に対して効果が期待できます。
家族が依存症を理解することは依存症の回復に大きな助けとなります。また、これまで依存症を維持してきた家族関係を見直し、新しい関係に変えていくことによって、依存症そのものへ対処することができます。
「ブレインスポッティング」は2003年にデイビット・グランド博士によって開発された心理療法です。視線(注意)と体の感覚を共に用います。視線の反射を利用して、脳の深い部分に働きかけ、トラウマの軽減・解消や様々なパフォーマンスの向上を図ります。
トラウマの解消。解離性障害。心的外傷後ストレス障害。痛みへの対応に効果が期待できます。