不安障害とは、体やこころ・身の回りのこと・将来のことに対する、心配や恐怖が過剰になってしまう状態です。
適度な不安感と異なり、不安障害の不安感は、落ち着いて物事に集中できなくなったり、特定の場所や物事を避けてしまうことになったり、突然死んでしまうのではないかという強い恐怖に襲われたりします。
不安障害には「強い不安」「イライラ」「強い恐怖」「緊張」が見られまます。また、「動悸」「息が浅くなる」「頭痛」「腹痛」などの身体症状が見られることもあります。このような心身の状態が続くことで心身ともに疲れ果ててしまい、日常生活に大きな問題となります。
不安・パニック障害は薬や心理療法など、専門的な手助け・身近な人の理解を得ながら対応をしていくことで、回復していくことができます。
不安症にははいろいろな状態があります。「不特定の人全体が不安」や「スピーチのときだけ」、「電車の中では死にそうに感じる」といったように、不安や恐怖を感じる場面が人それぞれ異なります。不安障害は、大きく全般性不安障害、社交不安症、パニック症、特定の恐怖症、パニック障害、選択的緘黙などに分けられます。
特定の場面だけではなく、生活のほとんどの場面で不安感・恐怖感を抱くものを、「全般性不安障害」。特定の場面・スピーチ・電話・書痙(字を書くときの手の震え)・視線・対人などの特定の場面に強い不安や恐怖を感じるものを「非全般性の不安障害」と呼びます。
人に会う・接することに強い不安・恐怖を感じる症状です。視線を避ける視線恐怖。学生にもよく見られる腹鳴恐怖。人とあって顔が赤くなることが不安の対象になる「赤面恐怖」。汗がでることがつらく感じられて人を避ける「発汗恐怖」などがあります。
高いところ、虫、狭いところ、血液、などの特定物事について強い不安や恐怖を感じ、日常生活に大きな支障が出るものを「特定の恐怖症」と呼びます。
突然襲ってくる死の恐怖、強い恐れ、気がおかしくなってしまうのかという強い不安感。ここにいる感じがしない、テレビを見ているかのように現実感がなくなる。めまいや震え、汗が大量に出る、強い疲労感などに代表される身体症状。これらのようなパニック発作が伴うものをパニック障害と呼びます
不安症には「避けると症状が強くなってしまう」という性質があります。人と関わるのが苦しいといってその場を避けていると、徐々に生活の場が狭くなり、以前は気にならかなった人や場所もつらく感じられるようになってきます。
不安性は適切に対応することで回復をしていく症状です。医療・心理カウンセリングと適切な対応を取り自身にあった回復方法を取ることで、多くの人が不安症・パニック障害から回復していきます。
・薬物療法
・カウンセリング・心理療法
話をすることは病気や問題に直面したときの対応として、いちばん大切なことです。
苦しいときほど話しにくくなってしまいますけれども、話をすることによって「自分の状態に気づく」「いろいろな援助のアイディアを聞ける」「助けを求める」など、さまざまな良い効果が期待できます。
不安や恐怖を感じる場面に、段階的に自分の身を置くことによって、パニック発作が起こらないことを体験して不安を克服していく心理療法です。様々な不安症状にエビデンスがあります。
自分の中にある考え方を変えていく心理療法です。
強く落ち込んだり、うつ病になると、自分のことや周りのことを落ち着いて考えることが難しくなります。「自分が悪い」と考えたり、「これからいいことは何も起こらないんだ」といった「ものごとのとらえかた」=「認知」に働きかけるものが認知療法です。
どのようなきっかけで不安性を発症するようになったのか。どのようなつらい思いをしてきたのか。不安症には傷つく経験が発症のきっかけになっていることが多く見られます。
カウンセラーと話すことによって、つらさをカウンセラーと共有し、トラウマを乗り越えていきます。
<出典>
やさしくわかる社会不安障害 山田和夫 著
PTSDの持続エクスポージャー療法 エドナ・B. フォア, バーバラ・O. ロスバウム 著
不安障害の認知行動療法〈1〉パニック障害と広場恐怖―不安障害から回復するための治療者向けガイドと患者さん向けマニュアル ギャビン アンドリュース , ロッコ クリーノ 著
不安障害の認知行動療法〈2〉社会恐怖―不安障害から回復するための治療者向けガイドと患者さん向けマニュアル ギャビン アンドリュース , ロッコ クリーノ 著