HSPは、「敏感な人」や「繊細さん」と言われる言葉で注目されています。新しい考え方が見つかることで、今までは説明しにくかった自分の状態が上手く説明できて、自分を責めたり落ち込んだりすることを少なくすることができることは良い点です。
一方、HSPなのだからと自分を理解することや生活していく工夫をあきらめ(世界と自分を分断させすぎ)てしまうと、現実適応能力が失われてしまうことになってしまいます。
HSPについてよりよく知ることで、自分の特徴やどのようなところに注意をして生活をしていったらいいのかがわかり、よりよい生活を送ることにつながっていきます。
もともとはアメリカのユング派の心理学者である、エレイン・N・アーロン博士によって1995年頃に提案された気質についての分類です。
「敏感さ」「過敏さ」と言われる、刺激に対する反応の強さを特徴としています。人口の5〜6人に1人の割合でいるのではないかと言われています。
敏感さの気質には、「周りの些細なことにもよく気づく」利点がある一方、「いろいろなことが気になってしまって不安」「人の顔色が気になってしまって疲れてしまう」といった欠点もあります。
※1 HSP The Highly Sensitive Person./ HSC The Highly Sensitive Child.
HSPの特徴は、文字通り「刺激に敏感であること」があげられます。プラス面では、高い敏感性や応答力があり細部に注意を払えます。一方で、マイナス面では、神経心理学的にコストがかかってしまうため、そうでない人たちよりも疲れやすいという特性があります。
特に、アーロン博士が提唱した概念では、DOESと呼ばれる4つの特性が挙げられています。
意識的にも無意識的にも情報を処理する際に、くり返し唱えたりパターンを見出したり、他の何かと関連付けたりと行った情報の処理を行う傾向。
刺激に対して過敏に反応する。また、そのために疲れやすい傾向。
良い経験にも悪い経験にも人より反応しやすい。共感性が高い。
ささいな変化に気が付きやすい。
HSPであることや、他の人よりも敏感さを抱えて生活してきたことで、深く傷つく経験をしてきた人達が少なくありません。他の人とは異なる特性を持っていることに、自分も周りの人たちも気づかなかったために、周りの状態から影響を受けやすかったり、敏感さがある故に、様々な役割を知らずに負っていることもあります。
HSPを知ることが大切です。HSPの人が自分を作っていく上で、どのような影響を与えているのか。HSPが社会でどんな風に扱われているのか。自分の敏感な体質について、体の反応について、HSPであることでどのようなことが起こっているのか。敏感な自分の感情を調整するためにどのような対処方法を身に付けたら良いのか、など、知っていくと良いでしょう。
その上で、自分の抱えている生きづらさを理解し、過去をどのように了解していき、現在の問題にどのように現実的に対応していくのかということが課題になるため、批判をされずに自由に語ることのできるカウンセリングは、基本的な対応になります。
そのようなカウンセリングの枠組みの中で、「心理教育」「認知行動療法」「家族療法」「トラウマへの介入」などを組み合わせ、自己や家族、対人関係や社会への理解を深めて、より生きやすい自分になっていくことが目標となります。
<出典>
敏感すぎる私の活かし方 高感度から才能を引き出す発想術 エイレン・N・アーロン