「カウンセリングで話す」ことについて

カウンセリングは、あなたの「モヤモヤ」を整理する場所

カウンセリングを受けているイメージイラスト

  最終更新日:2025年6月5日 

執筆:公認心理師 佐藤康幸

「なんだかモヤモヤする」「うまくいかないけど、何が原因かわからない」「頭の中がごちゃごちゃして、どうしたらいいか見えない」——そう感じたことはありませんか?

 

 私たちは普段、自分の気持ちや考えを言葉に「できている」。そんなふうに思いがちです。でも実は、本当に考えていることを言葉にするのは、想像以上に難しいことなんです。「本当はそんなつもりじゃなかったのに、口に出してしまった」「うまく言葉にできない」「なんでわかってもらえないんだろう・・・」と感じることは、誰にでもあるんです。

 

本ページでは、カウンセリングはどのような場であるのか、また、話すことで見えてくるものや、期待できることなどを解説していきます。

「話す」ことで、見えてくるもの

私たちは、頭の中でぐるぐる考えていることを、そのまま言葉にするのが難しい生き物です。実は、「話す」ということは、「こう考えているから、こう話す」という一直線の関係ではありません。むしろ、言葉に出してみることで、「ああ、自分はそういうふうに考えていたんだ」と気づいたり、「ちょっとニュアンスが違うな」と修正したりする。自分の話したことを聞いているのは、「わたし」でもあるんですよね。この「話す」と「考える」の相互作用こそが、自分自身を深く理解する上でとても大切なんです。

 

 自分のモヤモヤとした感情や感覚を言葉にすることは、まるで散らかった部屋を片付けるような作業です。最初はどこから手をつけていいか分からなくても、一つずつ言葉にすることで、何が問題なのか、どうすればいいのかが、少しずつ見えてきます。

安心できる場所で、自分の言葉を探してみませんか?

カウンセリングは、まさにその「言葉にする」ための場所です。

 

 「こんなこと話していいのかな?」「何を話せばいいのかわからない」と不安に感じるかもしれません。でも、心配はいりません。カウンセリングルームは、あなたのどんな感覚も、どんな感情も、どんな考えも、そのまま受け止められる、守られた安心できる空間です。カウンセラーはあなたの話を否定したり、批判したりすることはありません。話す中で「ちょっと違ったかな」と感じたら、言い直しても大丈夫。むしろ、そうやって試行錯誤すること自体が、自分を深く理解する第一歩になります。

 

 普段、自分の感情や感覚を言葉にすることに慣れていないと、疲れたり、面倒に感じたりすることもあるかもしれません。しかし、自分の内側にあるものを言葉にすることで、あなたは「なぜ自分がそう感じるのか」「なぜその行動をとってしまうのか」を、より深く理解できるようになります。それは、漠然とした不安や猜疑心から抜け出し、自分自身で納得できる選択をするための、確かな一歩になるはずです。

あなたのこころに、もっと「整理整頓」を

 映像で考えるのが得意な人、直感的に物事を捉える人、もちろん言葉で物事を捉える人。カウンセラーをここまでやってきて個人的にこころ打たれることの一つは「人の考える様式は・思考の形は本当に人それぞれなんだ」ということです。それでも、自分のこころを整理し、周りの人に伝えたいとき、「言葉」はとても便利な道具になります。

 

 感覚や感情、衝動に引きずられて、問題の本質が見えなくなることはありませんか? カウンセリングで自分の感じていることを言葉にすることで、感覚に気づいて、感情と現実を落ち着いて分けて捉えて客観的に見つめることができるようになります。

 

 あなたが今感じているモヤモヤや漠然とした不安は、一人で抱え込む必要はありません。カウンセリングという安心できる・試行錯誤できる場所で、あなたの言葉を探し、こころを整理してみませんか? きっと、今まで見えなかった新しい選択肢や、あなたらしい未来への道筋が、少しずつ見えてくるはずです。


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